読んだ本の感想など

読書感想文

高見浩輔『パウエルFRB 迷走の代償』で“経済の専門家”がなんぼのものか知る

“経済の専門家”とのちょうどいい向き合い方を知りたい 「経済の専門家?なんぼのもんじゃい!?」とうっすら思いながら生きているのは私だけじゃないと思うのです。かと言って、侮ると手痛いしっぺ返しをくらいそうで。だから、“経済の専門家”というもの...
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ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で知る移民社会のリアル

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』を読んで鼻水出るまで泣きました。自分でもひくくらい。主人公である息子君が、あまりにも優しくて他人の痛みに敏感な子で、それがあまりにもまぶしくて、自分のズルさが哀しくなって。 イ...
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ジュリアン・ガスリー『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』でアメリカ人を宇宙開発に駆り立てる原動力を理解する

アメリカでは、イーロン・マスク率いる民間宇宙開発会社スペースX社が民間人だけの宇宙旅行を成功させています。スゲー!と思う一方で、何がそこまで、アメリカ人を宇宙開発に駆り立てるのだろうと、いまいちピンとこないという人もいっぱいいると思います。...
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キャスリン・ペイジ・ハーデン『遺伝と平等 人生の成り行きは変えられる』で親ガチャと向き合う

確率論と決定論 「幼稚園出身の子は幼児期にちょっとしたお勉強もさせられるから、保育園出身の子に比べてお勉強ができる子が多い。」といった話を、担任のおばあちゃん先生がぽろっとしてしまったことがありました。保育園出身で小学2年生だった私は、プラ...
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松島憲一『とうがらしの世界』で唐辛子が16世紀デビューという事実に震える

激辛チップスを食べた高校生が体調を崩して大変な騒動になっています。含まれていた激辛成分は唐辛子由来だと思われます。世界各地の若者の間で激辛チャレンジが流行しているようで、アメリカでは亡くなった高校生もいるとの報道も。 今回の騒動でも改めて感...
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平井美穂『ソ連兵へ差し出された娘たち』でディティールに宿るやるせなさを嚙みしめる

平井美穂『ソ連兵へ差し出された娘たち』集英社を読みました。満州で起きた悲劇のあらましは、タイトルを一読してすぐ想像できてしまう人が多い気がします。戦争ってそういうものだよねと訳知り顔をしていた自分がいた気もします。ただ、筆者が丹念に取材して...
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下山進『がん征服』が専門家にガチで仕掛ける“まともな論戦”

“論戦”をむやみに見かけるようになったSNS時代ですが、だからこそ逆に“まともな論戦”はめったに見かけなくなってしまったSNS時代。そんな時代に、“まともな論戦”をガチで仕掛ける姿に震えるな、この人はペンの力を信じているのだなと、姿勢を正し...
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J.D.ヴァンス『ヒルビリー・エレジー』でトランプ2期目に備える

ドナルド・トランプのアメリカ大統領復帰という可能性に向けて読んでおくべき本が、J.D.ヴァンス『ヒルビリー・エレジー アメリカの反映から取り残された白人たち』です。 トランプ大統領が誕生した2016年にアメリカで出版され、トランプ大統領誕生...
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石浦章一『王家の遺伝子』を読んで“人種”についての理解を深める

米国第3代大統領トーマス・ジェファーソンは奴隷との間に子どもをもうけていた可能性が極めて高いことがDNA解析によって分かったそうです。人種差別問題についてしっかり考えなければと思っていましたが、思わぬ本で、“人種”の定義すらまともに理解していない自分の認識不足を突きつけられました。
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下山進『アルツハイマー征服』で学ぶ新薬開発の大変さ

アルツハイマー病治療薬の開発とアメリカFDAでの承認に向けての道のりを描いた下山進 『アルツハイマー征服』が上梓されたのが2021年1月で、FDAで承認されるかどうか関係者が息をのんで待っているというタイミングでした。発売後すぐに読んでいたので、本に登場する青森の家族性アルツハイマーの一族にすっかり感情移入してしまって、FDAの判断をドキドキしながら待っていました。