学習005 読書感想文で作家とつながる

読書感想文で作家とつながる

良い本を読むと、頭の中にいろんな考えが渦巻いてしまって、それを整理しないことには気が済まないのです。だから、私は良い本を読んで、読書感想文を書かずにはいられません。

そうやって書いた読書感想文をネットの海に漂わせておいたりすると、様々な形で作家とつながることがあります。

好きな作家に好きな場所の記事を書いてもらう

そんな御縁のひとつでつながったノンフィクション作家の下山進さんが金沢に来るというので、私が大好きな石川県立図書館に個人的に案内したのでした。すると、取材に発展してAERAの記事に。

AERA dot.【下山進=2050年のメディア第25回】飲食可。おしゃべり自由 日本一来館者数の多い石川県立図書館の秘密

自分の好きな作家が、自分の好きな場所の記事を書いてくれるなんて、こんなにうれしいことはありません。

自分の読書感想文が芥川賞作家に届く

その石川県立図書館でトークイベントが開かれるのをきっかけに作品を読んで、ファンになったのが九段理江さんです。九段さんの作品とトークイベントの感想文をXでポストしたところ、ご本人がリポストして、フォローまでしてくださいました。

気になった訳語について翻訳家に直接質問

ウォルター・アイザックソン『イーロン・マスク』の感想文では、翻訳した井口耕二さんとつながりました。

読んで気になっていた「シュラバ」という訳については、“surge”というキーワードをどう翻訳するか、あれこれ思い悩んで試していて、全体の3分の2くらい訳したあたりで決めたということを教えていただきました。

歴史学者ともつながる

小野寺拓也 田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』の感想文では、著者の一人の田野大輔さんがリポストしてくださいました。

じつは、もう一人の著者の小野寺拓也さんとも御縁がつながっています。中高大とずっと一緒だった先輩が歴史学者になっていて、仲間である小野寺さんに感想文を直接届けてつないでくれたのです。歴史学者の皆さんから歴史教育の難しさなどについて教えていただけていて、本当にありがたいことです。

作り手本人にさえ届けばいい

こうした読書感想文は、昔は個人HPやブログにあふれていたのですが、すっかり廃れてしまいました。Googleのアルゴリズムが変わったりして、個人HPやブログが検索に引っ掛かりにくくなってしまったからです。アフィリエイト収入などのニンジンをぶら下げられてしまっていた時代があったばかりに、アクセス数が減って収入が減ると、書き続ける理由がなくなってしまったのです。昔はそんなニンジンがそもそも無かったのに。

一方で、読書感想文をSNSなど様々なルートでネットの海に漂わせておくと、多くの作り手はエゴサーチせずにはいられないので、他ならぬ作り手本人には届くのです。クリエイターは常に、誠実な感想に飢えているものです。誠実な感想文は、何らかの形で作り手本人に必ず届くと信じています。

作り手が喜んでくれて、次の作品作りに注ぐエネルギーにしてもらえて、あわよくば作り手と私がつながって、学びを更に深める機会を得られて、みんなハッピーなわけです。

インターネットの原点

直接的な収入を得る可能性やアクセス数へのこだわりを捨てるというのが、このサイトを立ち上げるにあたってのコンセプトでした。インターネットと初めて出会った頃のワクワクが戻ってきて、原点にやっと帰ってこられた気がしています。

好きな本を読んで、好きなように感想文を書いたら、学びが深まって、作り手が読んでくれて、縁がつながって、更に学びを深められるかもしれない。

インターネットって、すごい!

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